中国はバブルなのか、それとも。。。

4月20日のウォールストリートジャーナル社説で、中国企業のデフォルトがたてつづいて起こっていることが報道されました。

去年の2015年6月、中国株式市場が大きく落ち込んだことは、まだ記憶に鮮明です。それ以降、株はリスクが大きいということで、投資家の多くが、より安全と思われる社債の市場になだれ込んだそうです。

中国で社債が安全に思われているのは、債務不履行になる前に、中央か地方政府が支援すると信じられてきたからです。ところが中央政府はいま、返済資金の調達を銀行融資に頼っている「ゾンビ企業」を退場させると公言しているそうです。

そして、大連の東北特殊鋼集団は3月末、約140億円の債務不履行に陥りました。さらに、国有企業を統括する国務院国有資産監督管理委員会(国資委、SASAC)によって管理されていた中煤集団山西華昱能源という会社もまた、3月6日にデフォルトに陥りました。これらは「ゾンビ企業を一掃する」という政府の決意が示された出来事といえます。

一方、こうした政府の対応は十分なものではなく、中国はバブル崩壊へ向かってまっしぐらに進んでいると見る意見もよく見られます。

さてどうでしょうか。

中国政府は、WSJの記事によると「不動産デベロッパーに気前よく融資するよう銀行に促し、国有企業などに道路や空港を新設するよう後押しした。」とのことですが、これは興味深いことです。

銀行が貸し出すときに、お金は創られます。そうして創られたお金が、債務不履行になって、返済の必要がなくなると、社会全体でみると、お金の量は増えます。(ただ、債務不履行になる場合、債務当事者にとっては大変なことですが。。。)なお、返済された瞬間に、貸出によって創り出された分のお金は消滅してしまいます。

中国は、最近、「一帯一路」という、現代版シルクロード的な構想を打ち出しています。中国からヨーロッパまでの途中のインフラを整備し、貧困国を巻き込んで貿易と経済を活性化しようという試みですが、債務でお金を創り出したあと、金融の秩序を破壊しない程度に債務放棄しながら、近隣にばら撒いていくと、結果的に中国の政策は、貧しい国々を豊かにすることができるかもしれません。

ハラハラしながらも注目していきたいところです。