いまの日本に「消費増税・投資減税」は不適切

デール・ジョルゲンソンなるアメリカの経済学者が、4月20日のロイター記事で「(日本の)消費増税・法人税減税」を主張している。

オピニオン:消費増税・投資減税はなぜ必要か=ジョルゲンソン教授

この人はハーバード大の偉い人だそうなのだが、日本に対する意見は、どうも昔から常に「改革」「規制緩和」「民営化」であるようだ。もちろんTPP大賛成である。

「日本が今、取り組むべきことは、低生産性産業に眠る成長のポテンシャルを見出すこと」「重要なことは、効率性向上を目指して「働き方改革(Working Style Reform)」を進めること」「生産性革命のためには税負担の投資から消費へのシフトが有効だ」といっている。

日本の生産性が低いのは、物やサービスの値段が低いからであって、一定時間にどれだけたくさんのサービスを提供できたかといったような、効率性とは何の関係もない。それになぜ、法人税減税して消費税増税すると、生産性が上がるのだろう。

金持ちに資本をより多く集めれば、より多く生産が行われるみたいな、供給側を重視する考え方なのだろうか。

むしろ、いま世界で起こっていることは、貧乏人から金を削りすぎてしまい(もしくは低所得者に対する公的サービスが不足していて)、大勢の人が買いたいものが買えず(需要が低下)、モノやサービスが売れそうにないので、企業が設備投資しなくなっているという、需要側の問題である。モノやサービスが売れないから、値段も上がらない。値段が上がらないから「生産性」の数値が上昇しない。

ジョルゲンソン氏はすでに時代遅れの考え方をしているように思われる。

ひょっとすると、アメリカの企業が、日本の金融・保険、電力、不動産にどんどん入れるようにして、金を儲けさせたくて、それに都合の良いことしかいっていないのではないか、とか勘ぐりたくなる。

(過去の発言)
「日本経済の生産性引き上げと財政改革は不可分」(2015-07-27)
日本経済の「3つの大きな命題」=デール・ジョルゲンソン教授(2012-03-01)